ミュンヘンの美術館ノイエピナコテーク(Neue Pnakothek)の絵をいくつか紹介します。
今回は絵画の写真は公式サイトからお借りしました。
『ITALIA UND GERMANIA(イタリアとドイツ)』(1828)、フリードリヒ・オーヴァーベック。
リューベック出身の画家、オーヴァーベックが画家の友人のために描いた絵。元々は"Sulamith und Maria"(スラミスとマリア)という題だったそうですが、その友人の死後にタイトルが『イタリアとドイツ』に変えられました。
『KORINTH MIT AKROKORINTH(コリントスとアクロコリントス)』(1847)、CARL ROTTMANN(カール・ロートマン)。
ギリシャの風景を描いた彼の絵がたくさん展示されている部屋があり、上の絵はそのうちの一枚。どれも淡い色使いとギリシャの自然が美しい絵でした。ロートマンはバイエルン王ルートヴィヒ1世のお気に入りの風景画家だったそうです。
『JOHANN WOLFGANG VON GOETHE(ゲーテ)』(1828)、ヨーゼフ・カール・シュティーラー(Joseph Karl Stieler )。
バイエルン王ルートヴィヒ1世のオーダーで描かれたゲーテの肖像画。当時ワイマールにいたゲーテのもとにシュティーラーが出向いてこの肖像画を描きました。この時のことはゲーテの日記にも記されているそうです。
この絵でゲーテが右手に持っている紙にはルートヴィヒ1世が作った詩が書かれています。
『DER POLITIKER EMILE OLLIVIER(政治家、エミール・オリヴィエ)』、ギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet)。
エミール・オリヴィエはフランスの政治家でフランス第二帝政期の首相です。
『DIE ERWARTETE(期待)』、フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー(Ferdinand Georg Waldmüller)。
日曜日の朝に男の子がバラを片手に好きな女の子を待っている様子を描いた一枚。
『DIE EKSTATISCHE JUNGFRAU KATHARINA EMMERICH(法悦の乙女 カタリナ・エメリック)』、Gabriel von Max(ガブリエル・フォン・マックス)
カタリナ・エンメリックという修道女を描いた絵。詳しくは彼女のWikipediaを読んでいただきたいのですが、イエスの最期を幻視したり超自然的な力で病気を治したり……魔女狩りに遭わなかったのが不思議なレベルです。
『Im Spiel der Wellen(波のたわむれ)』1883、ARNOLD BÖCKLIN(アルノルト・ベックリン)
私見ですが、この美術館きっての個性的な絵がこちらです。マーメイドとかトリトンを描いているように見えなくもないのですが、何かが違う……。公式サイトには左上の変な生き物が「海のケンタウロス」と説明されているのですが、アースラ(ディズニー、リトルマーメイド)って海のケンタウロスだったんですね!
『Die Gärten von Montmartre mit Blick auf Sacré-Coeur im Bau(モンマルトルの丘
)』1896、AUGUSTE RENOIR(オーギュスト・ルノワール)
パリのモンマルトルというと芸術家が集う場所のイメージがありますが、昔もそうだったのでしょうか。モンマルトルの景色を描いた印象派の絵をときどき見かけます。今と違ってまだ都会らしくないのも当時の風景が想像できておもしろいです。
『Der Weg nach Hampton Court(ハンプトン・コートへの道)』、ALFRED SISLEY(アルフレッド・シスレー)
印象派の画家の中でもシスレーの色使いって特に美しい気がします。淡い色と光がどこかファンタジーを描いた絵のような感じがします。
『Springbrunnen im Park von Sanssouci bei Potsdam(ポツダム、サンスーシ公園の噴水)』THEO VAN RYSSELBERGHE
この絵を見たとき一目惚れのような気持ちになりました。写真だと分からないのですが、すごくカラフルで、ただ綺麗で……。
『Sonnenblumen(ひまわり)』1888、VINCENT VAN GOGH(ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ)
いくつか現存するゴッホのひまわりのうちの1つ。ひまわりの形をシンプルに描く手法や力強い色合いは日本の浮世絵に影響を受けたものだそうです。
『蓮』(1915)、クロード・モネ
これも当時の印象派の間で流行っていたジャポニスムの影響を受けているそうです。彼の人生のなかでもどちらかというと後期に描かれた絵です。
『DIE SÜNDE(罪)』(1893)、フランツ・フォン・シュトゥック
この絵のために特別に作られた額とあいまって不思議な印象を与える絵です。青白い肌や暗い瞳が不気味です。
『Die Heilige Familie aus dem Hause Canigiani(カニジャーニの聖家族)』1505/1506、RAPHAEL(ラファエル)
左の赤ちゃんがバプテスマのヨハネ、右の赤ちゃんがイエス、女性はそれぞれの母親だそう。なんとなく構図に三角形が見えますね。
『Die Heilige Familie(聖家族)』1633/1635、REMBRANDT (HARMENSZ. VAN RIJN)(レンブラント)
光の魔術師と言われるだけあり、彼の絵の光の描写にはつい見入ってしまいます。聖なる家族ーイエスとその両親ーの人間的な面を描いたのが当時としては斬新でした。
『Madame de Pompadour(ポンパドゥール夫人)』 1756、FRANÇOIS BOUCHER(フランソワ・ブーシェ)
ロココの画家ブーシェの描いたポンパドゥール夫人。
ルーヴル美術館にあるモーリス=カンタン・ドラトゥールによる肖像画(1752-55)と少し雰囲気が違いますね。
ピナコテークは館がいくつかに分かれていて、ノイエピナコテークの方に印象派など比較的近年の絵が多く収蔵されています。
アルテピナコテークには行ったことがないのですが、宗教画が多いそうです。現代アートが展示されているPinakothek der Moderne(現代絵画館)もあります。
ノイエピナコテークにはここで紹介した他にもドガやマネ、セザンヌといった印象派の巨匠の作品がありました。
ミュンヘンの美術館だからかドイツ出身の画家の絵も多くて、新しく色々な画家を知ることができて楽しかったです。
ミュンヘンへご旅行の際はぜひノイエピナコテークへ!
住所:Barer Str. 29, 80799 München